【弁護士解説】自分で尾行は危険?不倫調査のテクニックと絶対知っておくべきリスク

昭和レトロな漫画風イラストで、素人の浮気調査の危険性とプロの技術・リスクを対比させたアイキャッチ画像。左側は「素人の尾行=危険!」と題し、変装がバレて警察官に呼び止められ焦る男の姿。「警察沙汰!」「逆効果!」などの文字が並ぶ。右側は「プロの技術とリスク」と題し、望遠カメラを構える探偵や無線を使う助手の姿。「合法調査」「確実な証拠」としつつも、背景には「法律の壁」や木槌、黒い影があり、「でも、リスクも…」と法的リスクを示唆している。全体のタイトルは「自分で尾行は危険?不倫調査のテクニックと絶対知っておくべきリスク」。 不貞証拠の集め方
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パートナーの浮気を疑った際、まずは、「自分で尾行して証拠を掴もう」と考えるのではないでしょうか?
しかし、興味本位で尾行を行うことは、法的リスクを招くだけでなく、二度と証拠が取れなくなる最悪の事態を引き起こす可能性があります。

本記事では、尾行を行うときの大原則と、一般の方が陥りやすい致命的なリスク、リスクへの対応策について紹介。

1. 尾行の基本テクニック(一般論)

プロの探偵も使用する基本的な考え方ですが、実行には高度な訓練が必要です。

  • 距離感の保持
    対象者(配偶者)との距離は、近すぎず遠すぎずが基本です。人混みでは接近し、閑散とした住宅街では大きく距離を取ります。
    しかし、この「適切な距離」を素人が判断するのは至難の業です。
  • 服装と擬態
    目立つ服を避け、風景に溶け込む服装を選びます。また、帽子や眼鏡、リバーシブルの上着などを用意し、長時間尾行する際は外見を変化させることがあります。
  • 死角の利用
    電柱や建物の陰、他の歩行者を盾にして、対象者から自分の姿が見えない位置を常にキープします。

尾行の基本テクニックと具体的行動

テクニックプロの具体的な行動例素人が陥りやすいリスク・失敗
距離感の保持人混み:3〜5mまで接近し、見失うのを防ぐ。
住宅街:50〜100m離れ、足音が聞こえない対向歩道を歩く。
距離感が掴めず、曲がり角で鉢合わせてバレる。逆に、慎重になりすぎて人混みで一瞬にして見失う。
服装と擬態服装:グレーや紺など記憶に残らない色とスニーカーを着用。
変装:リバーシブルの上着、帽子、眼鏡の着脱で、長時間尾行中に「別人」に見せる。
ヒールや革靴の**「足音」**で気づかれる。派手な服装や、逆に全身黒ずくめなどの不自然な服装で目立ってしまう。
死角の利用● 隠れる:自動販売機、電柱、他人の背後を盾にする。
● 確認:直接見ず、ショーウィンドウや鏡の**「反射」**を利用して相手の動きを見る。
隠れる動作が**挙動不審**すぎて、通行人や近隣住民に「不審者」として警察に通報される。

2. 素人の尾行が失敗する「3つの壁」&失敗したときの言い訳

テクニックを知識として知っていても、実際には以下の場面で失敗するリスクが高いです。

  • 振り返り(確認行動)への対応
    浮気をしている人間は警戒心が強くなっています。
    急に振り返ったり、ショーウインドウ越しに後ろを確認したりします。この時、素人は挙動不審になり、一発でバレてしまいます。
  • 交通機関の乗り降り
    電車やバスに乗る瞬間、降りる瞬間は最大の難所です。
    一緒に乗り込めば顔を見られるリスクが高まり、見送れば見失います。
  • 車両尾行の難易度
    車での尾行は、信号待ちや交通量に左右されるため、単独(車両1台)での成功率は極めて低いです。プロは複数台の車両とバイクを組み合わせて行います。
  • 相手にバレることを想定しておく
    万が一目が合った時は、「奇遇だね」と驚いてみせます。
    「友人のプレゼントを探しに来た」「近くで評判の店に寄るついで」など、その場所にいるもっともらしい理由(言い訳)を事前に決めておき、堂々と振る舞うことが重要です。

素人の尾行が失敗する「3つの壁」と典型的な結末

失敗する場面(壁)状況・難易度の理由素人の典型的な失敗・リスク
1. 振り返りへの対応
(点検行動)
浮気中の対象者は警戒心が強く、急な停止振り返り、ショーウィンドウの反射を利用した後方確認を行います。予期せぬ動きに驚いてしまい、急に目を逸らす慌てて隠れるなどの挙動不審な動きをして、一発で「尾行」だとバレてしまう。
2. 交通機関の乗り降り
(電車・バス)
乗降の瞬間は相手との距離が必然的に縮まります。**「同じ車両に乗るか、見送るか」の判断はコンマ数秒で求められます。● 乗る場合:至近距離で顔を見られ、発覚する。
● 見送る場合:ドアが閉まり、対象者を見失って調査終了となる。
3. 車両尾行
(車・バイク)
信号、渋滞、割り込みなど不確定要素が多く、単独(車両1台)での尾行成功率は極めて低いのが現実です。信号で離されまいとして信号無視スピード違反**を犯し、事故を起こす。または、間に他車が入ってしまい見失う。

尾行がバレた時の「緊急回避用」言い訳5選

絶対に「後をつけていた」と認めてはいけません。
「認める=ストーカー行為の自白」となり、今後の慰謝料請求or離婚協議で不利になります。

言い訳のパターン具体的なセリフ(例)成功させるポイント・心理効果
1. 偶然のサプライズ
(逆質問で攻める)
「えっ、すごい偶然!あなたこそ、こんな所で何してるの?」
(笑顔で駆け寄る演技が必要)
【先手必勝】
こちらが驚いて見せることで、やましい事がある相手に「バレたかも?」という恐怖を与え、相手を守勢(言い訳モード)に回らせます。
2. 友人のプレゼント選び
(具体的な目的の提示)
「来週〇〇さんの誕生日でしょ?この近くの雑貨屋が良いって聞いて、探しに来たんだ」【善意の強調】
「誰かのために」というポジティブな理由を用意することで、疑いの目を逸らします。近くに実在する店名を出すと信憑性が増します。
3. 友人との待ち合わせ
(第三者の介在)
「高校の時の友達と、そこのカフェで久しぶりに会う約束をしてて…あ、時間ヤバい!」【長話を回避】
「他人を待たせている」という設定にすれば、その場を早々に立ち去る口実になり、ボロが出る前に撤収できます。
4. お店の下見・予約
(家族のための行動)
「結婚記念日(や子供の誕生日)に良さそうな店がこの辺にあるってネットで見て、場所だけ確認しに来たの」【罪悪感の刺激】
「家族のために動いていた」という事実は、浮気中のパートナーに強烈な罪悪感を与え、それ以上の追及を封じる効果があります。
5. 仕事・用事のついで
(地理的な正当化)
「仕事(や親戚の用事)で近くまで来たから、ついでに評判のパン屋に寄ろうと思って」【日常の延長】
特別な行動ではなく「たまたま近くに用事があった」とすることで、そのエリアにいる不自然さを消します。

3. 【最重要】自分で尾行することの法的リスク・デメリット

弁護士として最も警告したいのが、以下の法的・実務的なリスクです。

リスクその① ストーカー規制法や迷惑防止条例違反

配偶者であっても、執拗なつきまといや張り込みは、状況によって「ストーカー規制法」や各都道府県の「迷惑防止条例」に抵触する恐れがあります。
警察に通報されれば、逆にあなたが加害者として扱われてしまいます。

【実例3選】配偶者による尾行が「違法行為」となるケース

具体的な行動(ケース)なぜ違法・問題になるのか警察介入後のリスク・結末
浮気相手の自宅前での
長時間の張り込み
【迷惑防止条例違反の疑い】
「配偶者の調査」という理由は、近隣住民には関係ありません。不審車両・不審者として通報されれば、警察官による職務質問を受けます。
● 警察署への任意同行や厳重注意。
● 「騒ぎを起こした」として、逆に慰謝料請求の増額事由や、離婚条件で不利な扱いを受ける。
別居中の配偶者への
執拗なつきまとい
【ストーカー規制法違反】
別居中や離婚協議中など、相手が「拒絶」している状態でのつきまといは、たとえ夫婦間であってもストーカー行為とみなされる可能性が高まります。
● 警察からの**「警告」「禁止命令」**。
● 最悪の場合、逮捕・起訴され、前科がつく可能性がある。
「今どこにいるか知っている」
等のメッセージ送信
【つきまとい等(監視の告知)】
尾行で得た情報を元に、「〇〇にいただろ」と告げる行為は、相手に恐怖を与える「監視の告知」にあたり、ストーカー規制法の規制対象です。
● 接近禁止命令が出され、弁護士を通さないと連絡が取れなくなる。
● 恐怖を与えた側(DV・モラハラ)と認定され、親権争いで決定的に不利になる。

リスクその② 住居侵入罪(不法侵入)

不貞相手の自宅や、ホテルなどの敷地内に無断で立ち入ることは、刑法の「住居侵入罪」または「建造物侵入罪」に問われる可能性があります。

証拠収集のつもりが「犯罪」になる侵入行為の実例

侵入場所・シチュエーションありがちな行動(NG行為)法的判断・リスク
浮気相手のマンション
(オートロック・共有部)
居住者の後についてエントランスを抜け、部屋のドアの前で聞き耳を立てたり、廊下で張り込みをする。【住居侵入罪】
部屋の中に入らなくても、「共用部分(廊下や階段)」**に立ち入った時点で犯罪が成立します。防犯カメラで特定されやすい行為です。
一戸建ての敷地
(庭・駐車場)
窓の中を覗くためや、停まっている車のナンバーを撮るために、門扉を開けて庭やガレージの奥に入る。【住居侵入罪】
家屋そのものでなくとも、敷地への立ち入りは住居侵入とみなされます。「不法侵入」として通報される典型例です。
ラブホテル・商業施設
(駐車場・敷地内)
出入りの写真を撮るために、利用客でもないのに**ホテルの敷地内や駐車場**に潜伏する。【建造物侵入罪】
ホテルや店舗は誰でも入れますが、「正当な理由(客としての利用)」がない立ち入りは違法となります。「浮気調査」は正当な理由として認められません。

リスクその③ 「警戒」されて証拠が取れなくなる

これが最大の実務的デメリットです。
一度でも「尾行されているかも?」と相手に感づかれた場合、相手は行動を自重するか、より巧妙に隠れるようになります。

一度警戒された対象者から、決定的な証拠(ラブホテルへの出入り写真など)を撮ることは、プロの探偵であっても極めて困難になります。(探偵事務所によっては「バレ案件」として依頼を断られます。)

対象者が「警戒」した後の行動変化と調査への悪影響

相手の反応(警戒モード)具体的な行動の変化(隠蔽工作)調査・証拠収集への致命的なダメージ
1. 行動の自粛・中断
(ほとぼりが冷めるまで待つ)
「誰かに見られている」と察知し、浮気相手との接触を完全に断つ、または連絡のみに留める。【証拠が存在しなくなる】
この期間に高額な調査費用をかけてプロに依頼しても、撮れるのは「真面目に帰宅する姿」だけです。空振りの調査に費用を払い続けることになります。
2. 密会場所の変更
(密室化・複雑化)
証拠が撮りやすい「ラブホテル」の利用を避け、相手の自宅車内個室の高級店など、出入りの特定が難しい場所へ変更する。【「不貞」の立証が困難になる】
ラブホテルの出入りに比べ、「相手の自宅への滞在」は言い逃れされやすく、より高度で長期間の証拠積み上げが必要になります。
3. 移動手段の高度化
(対尾行運転・攪乱)
タクシーを何度も乗り換える、車で急発進・急停車を繰り返す、わざと遠回りをするなど、追跡者を撒く動きをする。【調査難易度と費用の激増】
警戒対象者を追うには、通常よりも多くの調査員と車両(バイク含む)が必要になります。結果として、調査費用が通常の2倍〜3倍に膨れ上がるケースが一般的です。

リスクその④ 証拠能力の不足

苦労して撮影した写真でも、以下のような場合、裁判で「不貞の証拠」として認められないことがあります。

  • 日時が不明確
  • 顔が鮮明に写っていない
  • ホテルに入っただけで、滞在時間が証明されていない
  • 違法な手段(GPSの無断設置など)で得た情報に基づく場合、証拠として採用されないリスクがある

裁判で「不貞の証拠」として認められない典型的な失敗例

証拠の不備・欠点裁判で主張される「言い逃れ」・反論判定・リスク
日時が不明確
(撮影日時が入っていない、または加工可能なデータ)
「これは数年前の独身時代の写真だ」
「別居後の写真だ(婚姻関係破綻後)」
【証拠価値が低い】
いつの出来事か特定できなければ、不貞行為の時期(時効や婚姻関係の状況)を立証できず、証拠として採用されない恐れがあります。
顔が鮮明でない
(後ろ姿、マスク・サングラス、ピンボケ)
「背格好は似ているが、私ではない」
「ただの人違いだ」
【本人特定が不可】
裁判官が「本人である」と確信を持てない限り、証拠としては扱われません。否定された時点で手詰まりになります。
滞在時間が不明
(ホテルに入った写真のみで、出てくる写真がない)
「仕事の打ち合わせでロビーにいただけ」
「急に体調が悪くなり、休憩しただけで性交渉はない」
【肉体関係の立証失敗】
不貞(肉体関係)を推認させるには、**「数時間の滞在」という事実が必要です。入りと出のセットがなければ、「性行為の機会」があったとは断定されません。
違法収集証拠
(無断で設置したGPS・盗撮アプリ等のデータ)
「プライバシー権を著しく侵害する違法な手段で集められたものだ」
「証拠として排除されるべき」
【証拠排除 + 損害賠償】
著しく反社会的な手段(住居侵入や違法アプリ)で得た証拠は、裁判所の裁量で証拠能力が否定されるリスクがあります。さらに、逆にプライバシー侵害で慰謝料を請求**される可能性も高いです。

4.本人による尾行が唯一「有効」なケースとは?

原則として素人の尾行は推奨しませんが、唯一の例外が、本格的な調査を依頼する前の**「予備調査(行動パターンの把握)」**として行う場合です。

これは、決定的な不貞の証拠(ホテルへの出入り写真)を無理に狙うのではなく、「何曜日の、何時ごろ、どのエリアが怪しいか」という傾向を掴むことに徹する方法です。

探偵への依頼費用は、主に「調査時間」と「稼働人員」で決まります。
「いつ浮気をするか分からない」状態で依頼すれば、長期間の張り込みが必要となり、費用は膨れ上がります。
しかし、予備調査によって「金曜日の19時以降、新宿方面が怪しい」とピンポイントで指定できれば、調査時間を大幅に短縮し、数十万円単位でコストを削減できる可能性があります。

あくまで**「プロにバトンを渡すための下準備」**と割り切り、深追いは絶対に避けること。
これが、リスクを最小限に抑えつつ、賢く証拠を手に入れるための正しい「自力調査」の活用法です。

プロへの依頼費用を抑える!自分でできる有効な「予備調査」の実例

この調査の目的は、決定的瞬間を撮ることではなく、**「いつ、どこで、誰と会う可能性が高いか」**の傾向を掴み、探偵が無駄な張り込みをする時間を減らすことです。

調査の目的・知りたい情報自分でやるべき具体的なアクション探偵依頼時のメリット・節約効果ここでストップ(撤退ライン)
浮気日の特定
(空振りを防ぐ)
「残業」や「飲み会」と言った日の、服装、下着、香水、持ち物を記録し、実際の帰宅時間と照らし合わせる。「毎週金曜の残業の日が怪しい」とピンポイントで指定できれば、調査日数を絞り込み、費用を大幅に削減できます。家を出る際の観察のみ。後をつけない。
移動手段・ルートの把握
(初動のミスを防ぐ)
自宅から最寄り駅までの徒歩移動のみ追尾し、**「何線の電車に乗るか」「どの改札を使うか」**だけ確認する。探偵が駅で待ち構える体制を取れるため、自宅前での張り込み(近隣への発覚リスク)を回避し、調査の成功率を高めます。改札を通過するのを見届けたら終了。同じ電車には乗らない。
待ち合わせ場所の確認
(車移動の場合)
家を出た車を少しだけ追尾し、近所のコンビニや駐車場など、特定の場所で誰かを拾っていないか確認する。浮気相手の顔や、接触場所が事前に分かれば、車両の台数や配置を最適化でき、短時間で決着がつく可能性が高まります。相手を乗せた瞬間、または高速道路に入ったら終了。深追いは事故の元。
行き先エリアの絞り込み
(行動範囲の予測)
「今日は〇〇へ行く」という嘘を見破るため、**出発した方向(方面)**だけを確認する。「横浜方面へ向かった」等の情報があれば、そのエリアのラブホテル街やデートスポットを重点的にマークできます。幹線道路の合流地点などで方向を見届けたら終了。追跡を続けない。

5. 確実な証拠を掴むために

慰謝料請求や有利な離婚条件を勝ち取るためには、「裁判で勝てる証拠(報告書)」が必要です。

ご自身で無理な調査をして法に触れたり、相手に警戒させて証拠の道を閉ざしてしまう前に、まずは専門家にご相談ください。弁護士は、提携している信頼できる調査会社を紹介することも可能ですし、どのような証拠があれば法的に有利になるかを具体的にアドバイスできます。

感情に任せた行動は、あなたの立場を不利にするだけです。冷静に、賢い選択をしましょう。

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