浮気調査で逆に訴えられる!?プライバシー侵害となるケースと損害賠償(慰謝料)の金額

不貞証拠の集め方

配偶者の浮気を暴くために証拠を集めたい。その一心で調査を行った結果、やりすぎた行動が「プライバシー権の侵害」となり、逆に相手から損害賠償(慰謝料)を請求されてしまうケースがあります。

「夫婦間なら何をやっても許される」「相手が浮気しているのだから仕方ない」という言い訳は通用しません。また、調査を探偵に依頼した場合でも、探偵の違法行為の責任が「依頼者」に及ぶ危険性もあります。

この記事では、浮気調査や身辺調査において「どのような行為がプライバシー侵害(不法行為)になるのか」について、実際の裁判事例と具体的な賠償金額を交えて解説します。

どこからが「プライバシー侵害」になるのか?

そもそもプライバシー権とは、「私生活上の情報をみだりに公開されない権利」や「自己の情報をコントロールする権利」と解釈されています。

正当な理由(浮気調査など)があったとしても、社会通念上許される範囲を超えて他人の平穏な生活を脅かした場合、民法第709条(不法行為)に基づき損害賠償請求の対象となります。 具体的には、以下のような行為がプライバシー侵害やその他の法律違反に問われる可能性が高くなります。

  • 住居侵入・建造物侵入: 本人の許可なく別居先の家やマンションの敷地内に立ち入る行為
  • 通信の秘密の侵害: 盗聴器を仕掛けたり、他人の手紙を勝手に開封する行為
  • 過度な尾行・監視: ストーカー規制法や迷惑防止条例に抵触するような執拗なつきまとい行為

【裁判事例】違法な調査とされたケースと損害賠償額

実際に、探偵業者や依頼者が行った調査手段が違法と判断され、裁判で損害賠償や刑事罰が下されたケースをご紹介します。

以下の表は、行き過ぎた調査がどのような結果を招いたかを示す3つの代表的な事例です。

調査によるプライバシー侵害等の裁判事例

裁判所・判決日事案の概要(侵害行為など)裁判所の判断・結果
京都地裁平成18年1月26日探偵業者が浮気調査のため、対象者のマンションの配電盤上に無断でビデオカメラを設置して出入りを撮影し、郵便物を盗取するなどしたケース。プライバシー侵害等にあたると認定し、探偵業者に対して**50万円の損害賠償(慰謝料等)**の支払いを命じた。
東京地裁平成21年7月22日夫が離婚を有利に進めるため、妻の携帯電話やパソコンから私的な情報(メールや写真)を盗み出して証拠として提出したケース。妻のプライバシーを侵害する重大な違法行為であるとして、収集されたメールや写真の証拠能力(裁判の証拠として採用すること)を否定・排除した。
岐阜地裁平成9年11月21日探偵業者が町長のスキャンダルを調査するため、町長と他人の通話内容を電話回線に細工して盗聴したケース。慰謝料請求ではなく刑事事件として扱われ、電気通信事業法違反等により、探偵業者に懲役10箇月(執行猶予3年)の刑事罰が下された。

プライバシー侵害による慰謝料の金額の算定方法

プライバシー侵害に対する慰謝料は、民法上の不法行為に基づき、被害者が受けた精神的苦痛を和らげるための金銭給付として算定されます。慰謝料の算定には明確な計算式が存在するわけではなく、認定された損害や一切の事情を証拠に基づき考慮し、裁判所の自由裁量によって決定されます。

具体的には、以下のような要素が総合的に考慮されて金額が算定されます。

  • 侵害行為の悪質性・違法性の程度(住居侵入や盗聴など、他の法令に違反するような手段が用いられたか)
  • 侵害された情報の性質(他人に知られたくない私生活上の重大な秘密であるか)
  • 被害者が受けた精神的苦痛の大きさ
  • 加害者の属性(プロである探偵業者が業務として行ったものか等)

浮気調査の過程で行き過ぎた調査(無断のカメラ設置など)が行われ、プライバシー侵害が認められた場合、数十万円程度の慰謝料が命じられるケースがあります。


プライバシー侵害や違法な調査に関する裁判事例

探偵の違法行為は「依頼者」の責任になることも

上記の表の3つ目の事例(岐阜地裁)で最も注目すべき点は、**「探偵だけでなく、調査を依頼した依頼者自身も刑事罰を受けた(犯罪者になった)」**という事実です。

「探偵が勝手にやったことだから自分は悪くない」と主張しても、依頼者が違法な手段(盗聴や不法侵入など)を用いることを承知の上で依頼したり、途中で違法行為をそそのかしたりした場合、依頼者自身が損害賠償責任を負わされたり、共犯として逮捕されるリスクがあります。

違法調査を避けるための防衛策

自分が加害者になってしまわないためには、以下の点に注意する必要があります。

  1. 自分で無理な証拠集めをしない: 感情的になって相手のスマホのパスワードを不正に解除したり、別居中の相手の家に忍び込んだりする行為は、不正アクセス禁止法や住居侵入罪に触れる危険があります。
  2. 法令を遵守する優良な探偵を選ぶ: 「どんな手を使ってでも証拠を撮ります」と豪語する業者は危険です。探偵業法に基づき、違法調査・差別調査を行わないことを契約書面でしっかりと約束してくれる探偵事務所を選びましょう。

まとめ:証拠集めは「合法的な範囲」で見極めが肝心

浮気調査において、プライバシーの境界線は非常に曖昧であり、素人判断で行動するのは大きな危険を伴います。証拠を集めるつもりが、逆にプライバシー侵害で数十万円の損害賠償を支払うことになったり、最悪の場合は犯罪者として罰せられることもあり得ます。

確実かつ安全に不貞の証拠をつかみたい場合は、法律の範囲内で適切な尾行・張り込み・撮影を行ってくれるプロの探偵に相談することをおすすめします。

弁護士町田北斗

【監修:弁護士町田北斗】(東京弁護士会所属。2018年登録)

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