【弁護士解説】「体の関係がないと浮気じゃない」は通用する?キスやデートだけで離婚・慰謝料請求できるケース

昭和レトロな劇画タッチで描かれた法律解説記事のアイキャッチ画像。上部には「『体の関係がないと浮気じゃない』は通用する?キスやデートだけで離婚・慰謝料請求できるケースを解説」という大きな見出しがある。左側のコマでは、喫茶店や公園でデートをする和装の男女のイラストに大きな赤い「×」印と「通用しない!」という文字が重ねられ、右側のコマでは、裁判官が小槌を叩き弁護士が指を差す裁判の様子とともに、積み上がった「慰謝料」の札束と「離婚届」が雷に打たれ、「請求可能!」というスタンプ風の文字が強調されている。体の関係がなくても慰謝料請求などが可能であることを強く訴える内容となっている。 不貞証拠とは
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「夫が特定の女性と毎日デートしているが、『ホテルには行っていない』と言い張る」
「妻が他の男性と『愛してる』とLINEしているが、『プラトニックな関係だ』と開き直る」

不倫トラブルで最も多いのが、「肉体関係(セックス)がないから浮気ではない」という言い逃れです。

確かに、法律上の「不貞行為」は性交渉が基準となるため、肉体関係の証拠がないと慰謝料請求は難しくなります。
しかし、「だからといって離婚できない」わけではありません。

この記事では、肉体関係の証拠がなくても、**「婚姻を継続し難い重大な事由」**として離婚や慰謝料が認められる具体的なケースについて解説します。

<strong>マダム・ホー</strong>
マダム・ホー

プラトニックな愛? 結構なことね。でも残念ながら、法の世界では『セ○クスのない裏切り』は、驚くほど安く買い叩かれるのが現実よ。


1. そもそも「不貞行為」と「離婚原因」は別モノ

まず、誤解しやすい法律の仕組みを整理しましょう。

  • 不貞行為(民法770条1項1号):
    • 配偶者以外との性交渉。これがあれば即、離婚・慰謝料の対象になります。
  • 婚姻を継続し難い重大な事由(民法770条1項5号):
    • 性交渉がなくても、**「夫婦の信頼関係が修復不可能なほど壊れている」**と判断されれば、離婚が認められます。

つまり、相手が「体の関係はない!」と主張しても、その行動によって夫婦関係が破綻した事実があれば、裁判所は離婚を認めるのです。


2. 肉体関係ナシでも「離婚」になる4つの実例

裁判所は「セックスがあったか」だけでなく、「その行動が夫婦にどう影響したか」を重視します。以下は、実際に問題となる典型的なケースです。

ケース①:過度な異性交遊による「家庭放棄」

夫が特定の女性と食事やデートを繰り返し、給料の大半を飲食代やプレゼントに浪費していたケースです。

  • 夫の言い分: 「ただの飲み友達だ。やましいことはしていない」
  • 裁判所の判断:【離婚成立】
    • 生活費を入れない、休日に家に帰らないなど、夫としての責任を放棄している。
    • 家族よりも他の女性を優先し、経済的・精神的な苦痛を与えたことは、婚姻関係を破綻させる行為である。

判例実例】肉体関係の証拠はないが「家庭放棄」で離婚成立

このケースでは、直接的な不貞行為(性交渉)の証拠がなくても、夫の行動が「悪意の遺棄」や「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたると判断されました。

比較項目具体的な内容
トラブルの状況夫が特定の女性と頻繁に食事やデートを繰り返し、給料の大半を飲食代やプレゼントに浪費していた。
夫の言い分
(反論)
「彼女はただの飲み友達だ」
「やましいこと(性行為)はしていないから浮気ではない」
「離婚する理由はない」
家族への実害✓ 家計への生活費を入れない(経済的DV)
✓ 休日も外出して家に帰らない
✓ 妻や子供との時間を放棄している
裁判所の判決【離婚成立】
(夫の言い分を退ける)
判決の決め手
(法的根拠)
「夫婦の協力義務違反」と「信頼関係の破壊」
肉体関係の有無に関わらず、家族を犠牲にして他の女性を優先し、経済的・精神的な苦痛を与え続けた事実は、婚姻関係を破綻させる行為であると認定。

ケース②:朝帰り・外泊の常習と「嘘の繰り返し」

妻が同窓会で再会した男性と頻繁に深夜まで飲み歩き、時には朝帰りをするようになったケースです。

  • 妻の言い分: 「相手の家には泊まっていない。カラオケで話していただけ」
  • 裁判所の判断:【離婚成立】
    • 配偶者が「やめてほしい」と懇願しても無視し、嘘をついて異性と会い続けた態度は悪質。
    • 「誠実義務」に違反しており、信頼関係は失われている。

【判例実例】不貞の確証はないが「嘘と不誠実な態度」で離婚成立

このケースでは、密室での性行為(不貞)が立証できなくても、配偶者への配慮を著しく欠いた態度が「婚姻を継続し難い重大な事由」と認定されました。

比較項目具体的な内容
トラブルの状況妻が同窓会で再会した男性と頻繁に深夜まで飲み歩き、時には朝帰りや外泊をするようになった。
妻の言い分
(反論)
「相手の家には泊まっていない」
「カラオケボックスで朝まで話していただけ」
「性行為はしていないから、法的な離婚原因にはならない」
問題となった行動● 夫が「やめてほしい」「帰ってきてほしい」と懇願しても無視した
● 誰とどこにいるか隠したり、嘘をついて異性と会い続けた
裁判所の判決【離婚成立】
(妻の言い分を退ける)
判決の決め手
(法的根拠)
「誠実義務違反」と「信頼関係の喪失」
性行為の事実認定に関わらず、配偶者が嫌がる異性との交遊を、嘘をついてまで継続した態度は悪質。もはや信頼関係は修復不可能であると認定。

ケース③:プラトニック不倫と「精神的遺棄」

「体の関係はないが、心は繋がっている」と主張し、浮気相手と「愛してる」「君だけが理解者だ」とLINEを送り合っていたケースです。一方で家庭内は会話がなく、セックスレス状態でした。

  • 当事者の言い分: 「清い交際だ。肉体関係がないから不貞ではない」
  • 裁判所の判断:【離婚成立】
    • 配偶者への愛情を失い、精神的な拠り所を他者に求めている(精神的遺棄)。
    • 夫婦としての情緒的な交流が断絶しており、形だけの同居に意味はない。

【判例実例】肉体関係なし(プラトニック)でも「精神的遺棄」で離婚成立

このケースでは、当事者が「清い交際(プラトニック不倫)」を主張しても、それによって家庭内の情緒的な繋がりが失われていれば、法律上の保護に値する婚姻関係とは言えないと判断されました。

比較項目具体的な内容
トラブルの状況夫が職場の女性と「愛している」「君だけが理解者だ」といった親密なLINEを日常的に送り合っていた。
一方で家庭内では会話がなく、長期間のセックスレス状態だった。
夫の言い分
(反論)
「体の関係はないから不貞(不法行為)ではない」
「清い交際であり、友人の延長だ」
「心の繋がりがあるだけで罪になるのか」
家庭の実態● 配偶者への関心を完全に失っている(無視・無関心)
● 夫婦としての情緒的な交流(会話やスキンシップ)が断絶している
● ただ同居しているだけの「家庭内別居」状態
裁判所の判決【離婚成立】
(夫の主張を退ける)
判決の決め手
(法的根拠)
「精神的遺棄」と「婚姻関係の形骸化」
配偶者への愛情を失い、精神的な拠り所を外部(他の女性)に求めている。情緒的な結びつきが消滅しており、形だけの同居に意味はないと認定。
  • 精神的遺棄」とは
    通常、「遺棄」とは生活費を渡さない・家出するなどの行為を指しますが、同居していても**「配偶者を無視し、精神的に見捨てること」**も、広い意味での協力義務違反(遺棄)とみなされることがあります。
  • 「セックスレス」との合わせ技
    単なるメールのやり取りだけでなく、その結果として**「妻とはしないが、他の女性とは心を通わせている」**という対比が、婚姻関係破綻の強力な証拠となります。
  • 不貞慰謝料との違い
    このケースでは「不貞慰謝料(肉体関係への賠償)」は認められにくいですが、**「離婚慰謝料(精神的苦痛への賠償)」**が発生する可能性が高いです。

ケース④:異性問題が原因で「長期間別居」した

デートや頻繁な連絡が発覚して夫婦喧嘩になり、妻が実家に帰ってしまい、そのまま3〜5年の別居が続いたケースです。

  • 状況: 直接的な離婚原因は「性格の不一致」等になることも多いですが、発端は異性問題です。
  • 裁判所の判断:【離婚成立】
    • 理由が何であれ、長期間の別居により夫婦の実態が消滅している(破綻の固定化)。
    • 「デート自体」ではなく、「それが引き金で別居し、修復できなかった結果」をもって離婚を認める。

【判例実例】不貞の立証以前に「長期間の別居」で離婚成立

このケースでは、デートや連絡が不貞(肉体関係)であったかどうかに関わらず、それが引き金となって「夫婦としての実態」が失われたことが決定打となります。

比較項目具体的な内容
トラブルの発端異性とのデートや頻繁な連絡が発覚し、夫婦喧嘩に発展。
妻(または夫)が家を出て行き、別居が開始された。
現在の状況別居期間: 3年〜5年以上
交流状況: 生活費のやり取り等はあるかもしれないが、夫婦としての精神的・肉体的な交流は断絶している。
当事者の主張
(ズレ)
夫: 「ただのデートだ。離婚するほどの理由じゃない」
妻: 「もう何年も一緒に住んでいない。夫婦でいる意味がない」
裁判所の判決【離婚成立】
(修復不可能と判断)
判決の決め手
(法的根拠)
「婚姻関係の破綻(固定化)」
発端が異性問題であれ性格の不一致であれ、長期間別居しているという客観的事実により、**「もはや元の夫婦関係に戻ることは不可能」**と認定される。

3. この場合の「慰謝料」はどうなる?

離婚が認められたとしても、「慰謝料」の金額には違いが出ます。

項目肉体関係あり(不貞)肉体関係なし(重大な事由)
慰謝料の名目不貞慰謝料離婚慰謝料
請求相手配偶者 + 浮気相手主に配偶者のみ
(浮気相手への請求は困難)
相場200万〜500万円50万〜150万円

解説:不貞行為と判定されなかったとしても

  • 金額は下がるがゼロではない
    「不貞(不法行為)」としての高額請求は難しいですが、「離婚に至る原因を作った責任(有責性)」としての慰謝料は発生します。
  • 浮気相手への請求は難しい
    肉体関係がない場合、浮気相手が「夫婦関係を破壊する意図」を持っていたと証明するのが難しく、相手への請求は認められないことが多いです。
<strong>マダム・ホー</strong>
マダム・ホー

『手をつないだだけ』『朝まで話してただけ』……。いい大人の男女が密室でそんな綺麗事、本気で信じるつもり? ……その『おとぎ話』の裏にある、生々しい現実を暴くのがプロの仕事よ。
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4. まとめ:泣き寝入りせず「破綻の証拠」を集めよう

相手が「体の関係はないから離婚できないし、金も払わない!」と開き直っても、諦める必要はありません。

「離婚は成立するし、離婚原因を作った責任として慰謝料も払ってもらう」 という形で、相手の責任を追及することは十分に可能です。

今すぐ集めるべき証拠

ラブホテルの写真が撮れなくても、以下の証拠があれば「夫婦関係の破綻」を証明できます。

  1. 日記・メモ: 「いつ帰宅したか」「何度嘘をつかれたか」「生活費を渡さなくなった時期」などの詳細な記録。
  2. LINE・メール: 「愛してる」「会いたい」といった、親密すぎるやり取り(精神的結合の証明)。
  3. 通帳・明細: 異性との交遊に使われた多額の出費や、家計へのダメージを示す記録。
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