【判例紹介】不倫の「回数」や「期間」で慰謝料は変わる?裁判事例から見る増額ポイント

記事「【判例紹介】不倫の「回数」や「期間」で慰謝料はいくら変わる?裁判事例から見る増額のポイント」のアイキャッチイラスト。天秤を用いて、左側の皿に乗った「期間・回数」を示すカレンダーやグラフの要素が増えると、右側の皿に乗った「慰謝料」を示す金銭と上昇矢印が重くなり、金額が増加する様子を視覚的に表現しています。背景には裁判所の建物と木槌が描かれています。 不貞証拠とは
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不倫(不貞行為)の慰謝料請求において、最もよくある質問の一つが「相場はいくらですか?」というものです。 一般的には「50万円〜500万円」と言われますが、この幅は非常に大きいです。

なぜ、これほどの差が生まれるのでしょうか。
裁判所は、不貞行為の「回数」「期間」「内容(悪質性)」、そして「夫婦関係へのダメージ(離婚したか否か)」「相手の収入や地位」を総合的に判断して金額を決定します。

本記事では、実際の裁判事例(判例の傾向)をもとに、どのようなケースで慰謝料が高額になり、逆にどのようなケースで定額となるかを解説します。

<strong>マダム・ホー</strong>
マダム・ホー

長い嘘には、高い利子がつくものよ。……バレていないと思ったその火遊び、すべて慰謝料に上乗せして請求してやりなさい。


1. 裁判所が金額を決める「5つの判断基準」

事例を見る前に、裁判官がどこを見ているかを知っておきましょう。
主に以下の要素が金額を左右します。

  • 不貞期間と頻度
    • 長期間(数年単位)や、高頻度(週に何度も密会)であればあるほど増額されます。
  • 不貞の内容
    • 不倫相手との間に子供ができた、自宅に連れ込んだ、などの事情は悪質性が高いと判断されます。
  • 婚姻期間と子供の有無
    • 婚姻期間が長く、幼い子供がいる場合、家庭崩壊のダメージが大きいとして増額されます。
  • 夫婦関係の結末
    • 不倫が原因で「離婚した」場合は高く、「離婚しなかった(再構築)」場合は低くなるのが原則です。
  • 加害者の収入や地位
    • 会社役員、医者、弁護士など社会的な地位があり、高収入である場合には、そうでない場合と比較して慰謝料の金額が高額になりやすいです。

【表】裁判官の思考:慰謝料の「増額・減額」判定ロジック

裁判官は「サイコロ」で金額を決めているわけではありません。
基本の相場」(離婚するなら150〜300万円、しないなら50〜150万円程度)をスタート地点とし、そこから**「悪い要素(増額)」と「マシな要素(減額)」を足し引きして**最終的な数字を決定します。
その「足し引きの計算式」にあたる、裁判官の脳内シミュレーションを表にしました。

具体的な状況裁判官の思考・判断(心の声)金額への影響
期間・頻度
「3年以上続いている」「週2回会っていた」
「一時の気の迷いではない。関係は深く、裏切り期間が長いぶん、配偶者の精神的苦痛は甚大だ。」大幅 ↑増額
夫婦の結末
「不倫が原因で離婚することになった」
「平穏だった家庭を破壊した責任は重い。償うべき損害のレベルはMAXに近い。」大幅 ↑増額
不倫の結果
「不倫相手との間に子ができた(妊娠した)」
「家庭へのインパクトは計り知れない。妻(夫)にとって一生消えない傷を与えた。」大幅 ↑増額
事後の態度
「嘘をつき続けた」「逆ギレした」「約束を破った」
「反省の色が全く見られない。被害者の精神的苦痛をさらに拡大させており、悪質性が高い。」↑ 増額
主導権
「上司が部下を誘った」「既婚者と隠して誘った」
「誘った側に強い責任がある。誘われた側(部下など)は断りにくい立場だったかもしれない。」主導側が↑
従属側は↓
夫婦関係(元々)
「不倫前から会話なし」「家庭内別居だった」
「そもそも守るべき『平穏な家庭』が既に壊れかけていたなら、不倫による実害は少ない。」大幅 ↓減額
経済力
「加害者に全く資産や収入がない」
「高い金額を命じても、支払えなければ意味がない(※あくまで参考程度だが考慮はする)。」微 ↓減額
発覚後の対応
「すぐに謝罪し、慰謝料の一部を支払った。その後も真摯に対応している。」
「真摯に反省しており、被害者の感情も幾分かは鎮まっているはずだ。」微↓ 減額

この表のポイント

裁判官は、一つの要素だけでなく**「総合的な事情(合わせ技)」**で判断します。

  • 例: 「期間は短かった(減額要素)」が、「相手が妊娠した(特大の増額要素)」場合→ 結果:高額になる(妊娠の事実が重く見られるため)。

つまり、裁判で高い慰謝料を勝ち取るためには、「いかに相手が悪質か(表の上半分)」を示す証拠を一つでも多く提出し、裁判官に「これはひどい」と思わせることが勝負の分かれ目となります。

2. 【事例紹介】ケース別・慰謝料認定額の違い

では、具体的なケースで金額の差を見てみましょう。
※以下は過去の判例傾向に基づくモデルケースです。

【ケースA】離婚せず、回数も特定できなかった事例

  • 状況: 夫が職場の部下と浮気。妻はLINEで浮気に気づいたが、決定的な証拠は少なく、夫も「数回食事に行っただけ」と主張。最終的に夫婦は離婚せず、やり直すことを選択。
  • 認定された事実: 不貞期間数ヶ月、回数は不明確。
  • 判決(慰謝料額): 約50万〜100万円
  • 【解説】 「離婚に至らなかった」ことで精神的苦痛は比較的小さいとみなされます。また、「回数や期間を立証する証拠」が弱かったため、悪質性が低いと判断され、金額は低めに抑えられました。

【判例解説】離婚せず・証拠不十分な場合

評価項目今回のケースの事実裁判官の評価・判断金額への影響
夫婦の結末「離婚しない」
(関係修復を選択)
精神的苦痛は、離婚に至った場合に比べて小さい(家庭は守られた)。↓↓ 大幅減額
証拠の強さ「LINEのみ・回数不明」
(夫は食事のみと主張)
肉体関係の回数や頻度が立証できておらず、悪質性が高いとまでは断定できない。↓ 減額
不倫の期間「数ヶ月程度」長期間(数年単位)の不倫に比べれば、被害は限定的である。基準通り
決定金額約30万〜50万円【相場の下限クラス】
制裁的な意味合いが強い金額。
低額

この事例のポイント

このケースから学べる教訓は2つあります。

  1. 「離婚しない」=「慰謝料は安くなる」裁判所は「慰謝料=精神的苦痛の値段」と考えます。「離婚しなくて済んだなら、苦痛はまだマシだよね」と判断されるため、相場はガクンと下がります(一般的に30~50万円)。
  2. 「回数不明」は加害者に有利証拠が弱いと、裁判官は「もしかしたら本当に数回だけだったのかもしれない」と推定せざるを得ません。だからこそ、探偵の調査報告書のような**「〇月〇日と△月△日にホテルに行った」という具体的な回数の証拠**があれば、悪質性が立証され、金額が上がる余地があったと言えます。

【ケースB】不倫が原因で離婚、期間も長かった事例

  • 状況: 結婚10年目。夫が特定の女性と約2年にわたり交際。探偵の調査により、月2〜3回のペースでラブホテルを利用していた事実(計数十回)が立証された。妻は精神的ショックで離婚を決意。
  • 認定された事実: 不貞期間2年、継続的な肉体関係、これが原因で離婚。
  • 判決(慰謝料額): 約150万〜250万円
  • 【解説】 これが典型的な「離婚事案」の相場です。ポイントは**「2年間にわたり継続していた事実」が証拠によって証明された点**です。単発の過ちではなく、禁じられた関係を継続した「悪意」が認定されました。

【判例解説】離婚・証拠が完璧な場合

評価項目今回のケースの事実裁判官の評価・判断金額への影響
夫婦の結末「離婚する」
(婚姻関係の破綻)
守るべき家庭が完全に破壊された。精神的苦痛のレベルは「最大」と判断される。↑↑ 大幅増額
証拠の強さ「探偵調査で立証」
(月2〜3回×2年=数十回)
「数十回の肉体関係」という客観的事実により、悪意と常習性が証明された(言い逃れ不可)。↑ 増額
不倫の期間「約2年間」一時の過ちではなく、長期にわたり妻を欺き続けた「悪質な裏切り」である。↑ 増額
決定金額約150万〜250万円【相場の標準〜上位】
離婚慰謝料として、社会的制裁を含む十分な金額。
高額

この事例のポイント

ケースAとの決定的な違いは以下の2点です。

  1. 「離婚」という結果の重さ裁判官は「不倫のせいで、積み上げてきた10年の結婚生活がゼロになった」という事実を非常に重く見ます。これが慰謝料のベースラインを大きく引き上げます。
  2. 「継続性」を証明する証拠の力もし証拠がLINEだけだったら、夫は「2年も付き合っていない、最近数回会っただけだ」と嘘をつき、期間の短さを主張して減額を狙ったかもしれません。探偵の調査によって**「2年間、定期的にラブホテルに行っていた」**という事実が確定したため、夫は減額の言い訳ができず、高額な判決に至りました。

【ケースC】極めて悪質(妊娠・同棲)な事例

  • 状況: 夫が不倫相手と半同棲状態になり、生活費を家に入れなくなった。さらに不倫相手が妊娠・出産。妻はうつ病を発症し、離婚。
  • 認定された事実: 不貞期間5年以上、不貞相手の妊娠、配偶者への遺棄(生活費未払い)。
  • 判決(慰謝料額): 約300万〜500万円
  • 【解説】 極めて悪質性が高いケースです。単なる浮気を超え、一つの家庭を完全に破壊したとみなされます。「期間の長さ」に加え、「妊娠」「別居の強行」といった事実が、慰謝料を相場の上限(あるいはそれ以上)まで引き上げました。

【判例解説】極めて悪質(妊娠・同棲・遺棄)な場合

評価項目今回のケースの事実裁判官の評価・判断金額への影響
不倫の結果「相手が妊娠・出産」
(隠し子が誕生)
単なる裏切りを超え、別の家庭を形成している。妻への精神的打撃は計り知れず、修復は不可能。↑↑↑ 特大増額
悪質性
(遺棄)
「生活費を入れず半同棲」
(悪意の遺棄)
夫婦の義務(協力・扶助)を放棄し、経済的にも妻を追い詰めた極めて身勝手な行動。↑↑ 大幅増額
被害の程度「妻がうつ病を発症」
(診断書あり)
不倫と精神疾患の因果関係が認められ、健康被害に対する償いも加算される。↑ 増額
不倫の期間「5年以上」極めて長期間にわたり、妻の人生を空費させた責任は重い。↑ 増額
決定金額約300万〜500万円【相場の上限〜例外級】
通常の不倫慰謝料の枠を超え、最大限の賠償を命じるレベル。
最高額

この事例のポイント

このケースが「300万円オーバー」となる理由は、単なる「浮気」の域を超えているからです。

  1. 「引き返せない結果(妊娠・出産)」不倫相手との間に子供ができることは、裁判において最も重い増額事由の一つです。「遊びだった」という言い訳が通用せず、妻に対する背信行為の極みとみなされます。
  2. 「悪意の遺棄(いき)」勝手に家を出て行き、生活費も渡さない行為は、法律上の**「悪意の遺棄」**という別の離婚原因にも該当します。「不貞」+「遺棄」のダブルパンチとなるため、慰謝料も跳ね上がります。
  3. 「実害の証明(診断書)」「精神的に辛かった」と口で言うだけでなく、医師の診断書によって**「うつ病」という実害**が証明されたことも、金額を引き上げる重要な要素です。

【まとめ】慰謝料3つのグレード

ここまで作成した3つのケースを読者に見せることで、自分の状況がどこに当てはまるか判断しやすくなります。

  • ケースA(軽〜中):30〜50万円
    • 離婚なし、証拠弱、期間短
  • ケースB(重):150〜250万円
    • 離婚あり、証拠完備、期間長
  • ケースC(激甚):300〜500万円
    • 妊娠出産、生活費放棄、精神疾患

3. 高額慰謝料のカギは「回数」と「期間」の立証にある

上記の事例から分かることは、「ただ浮気をした」という事実だけでは、高額な慰謝料は取れないということです。

裁判で「悪質だ(慰謝料を高くすべきだ)」と認めさせるには、以下の主張を証拠付きで行う必要があります。

  • ×「夫は浮気をしていました」
  • ○「夫は3年間にわたり週1回のペースで、合計100回以上も不貞行為を繰り返していました」

「1枚の写真」vs「調査報告書」

  • たった1回のホテル写真:
    • 相手は「魔が差して1回だけ間違いを犯した。反省している」と主張し、減額を求めてきます。
  • 詳細な調査報告書(複数回・期間の証明):
    • 「〇月〇日、×月×日…」と継続的な関係が証明されれば、「1回だけ」という言い逃れは通用しません。「常習性がある」として増額事由になります。

【比較表】言い逃れの可否と結果

比較項目① たった1回のホテル写真(弱い証拠)② 詳細な調査報告書(強い証拠:複数回・期間証明)
証拠の内容「〇月〇日に一度だけ、ホテルに入った写真」があるのみ。「4月、5月、6月…と、月に数回のペースで継続的に会っていた記録」がある。
相手の言い分
(弁護士の戦術)
「魔が差して、その日1回だけ間違いを犯しました。深く反省しています」
(※他の日は会っていないとシラを切る)
(ぐうの音も出ない)
「1回だけ」という嘘が明白なため、言い訳ができない。
裁判官の認定「出来心(一過性)」
継続的な愛人関係とまでは断定できないため、悪質性は低いとみなす。
「常習性・継続性あり」
計画的かつ長期的に配偶者を裏切り続けており、悪質性が高いとみなす。
慰謝料への影響↓ 減額される
(相場の下限寄りになる)
↑ 増額される
(相場の上限、またはそれ以上を狙える)

この表のポイント

この比較で最も重要なのは、**「不倫裁判では『1回だけ』という主張が、最強の減額カードになる」**という現実です。

  1. 「1回」と主張されるリスク相手が弁護士をつけると、証拠が一つしかない場合、必ずと言っていいほど「あれはたった一度の過ちでした」と主張してきます。
    裁判官も「他に証拠がない以上、反復継続していたとは認定できない」となり、慰謝料を下げざるを得ません。
  2. 報告書が「嘘」を暴く探偵の調査報告書で「複数回(例:3回以上)」の不貞行為が証明されていれば、相手の「1回だけ」という主張は**「裁判所に対する嘘」になります。
    これにより、「不倫の事実」+「反省せずに嘘をつく悪質な態度」**という2つの理由で、慰謝料の増額を勝ち取ることができるのです。

結論:

費用を惜しんで証拠を「1回分」で止めてしまうと、裁判で数十万円〜100万円単位の減額を許してしまい、結果的に損をする可能性があります。


まとめ:証拠の「厚み」が金額の「厚み」になる

慰謝料の金額は、相手の行為がいかに酷かったか、つまり**「不貞の量(期間・回数)」と「質(内容)」**によって決まります。

そして、それを証明できるのは、あなたの感情ではなく**「客観的な証拠」**だけです。

もしあなたが、「相手に相応の償いをさせたい」「相場以上の慰謝料を請求したい」と考えるなら、中途半端な状態で動かず、まずは弁護士や探偵に相談し、**「悪質性を立証できるだけの証拠(厚み)」**を確保することから始めてください。

そのひと手間が、最終的な解決金(慰謝料)を100万円、200万円と変えることになるのです。

<strong>マダム・ホー</strong>
マダム・ホー

『3年も続いていた』といくら叫んでも、証拠がなければ裁判では『たった一度の間違い』として処理されるわ。……そんな理不尽な『大幅値引き』、私が許さない。過去の悪事も全て掘り起こして、きっちり定価で請求しなさい。
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