A-02
「夫が他の女性と手をつないでいた」
「妻が男性と二人きりで映画に行っていた」
これらは夫婦の信頼関係にひびを入れる行為であり、道徳的には許されない「裏切り」といえるでしょう。
しかしながら、法律上の「不貞行為」として慰謝料を請求できるかというと、答えは「NO」である可能性が高い**です。裁判や法律の世界には、明確な「ライン」が存在します。
本記事では、弁護士の視点から「不貞行為と認定されるために必要な事実」について、具体例を交えて解説します。

裁判所は冷酷な場所よ。証拠が無ければ不倫は無かったことになるの💢
アンタの『感情』をくみ取ってくれる場所ではないわっ
1. 原則:不貞とは「肉体関係(性交渉)」があること

法律において、離婚原因や慰謝料請求の対象となる「不貞行為」とは、原則として以下の事実を指します。
配偶者以外の異性と、自由な意思に基づいて肉体関係(性交渉)を持つこと
つまり、プラトニックな恋愛感情があったり、キスやハグをしたりするだけでは、法律上の「不貞行為」とは認められないことになります。
なぜ「性交渉」が基準なのか
法律(民法)は「夫婦の貞操義務(性的誠実義務)」を守るためのものです。
したがって、その核心である「性的な関係」があったかどうかが、不法行為成立の重要な判断基準となります。
判定表】行為別に見る「不貞行為(不倫)」の境界線
| 具体的な行為・シチュエーション | 不貞と判定される確率 | 判定の理由・法的解釈 |
| 性交渉(本番行為) | 100% | 【原則】 貞操義務違反の核心。 ▶反論:不可 |
| ラブホテルへの出入り | 90% | 密室での滞在は「性交渉があった」と強く推認(推定)される。 ▶反論:10分程度で出てきたというような事情があれば、話をしていただけという主張が認められる可能性あり |
| 相手の家への宿泊 | 90% | ラブホテル同様。 ▶反論:複数人でパーティーしていたなど二人きりでは無いという主張が認められる可能性あり |
| 性交類似行為 (口淫・手淫・裸で抱き合う等) | 90% | 広い意味で性交渉であり、不貞行為と判定されます。 ▶反論:不可 |
| キス・ハグ・手繋ぎ | 0% | それだけでは不貞行為と認められる可能性はほぼゼロです。 |
| デート・食事・映画 | 0% | 異性と食事に行くこと自体は自由であり、違法性はありません。 |
| 「愛してる」等のLINEやり取り | 0% | プラトニック(精神的)な恋愛感情があるだけでは、法律上の不貞には当たりません。 |
表のポイント解説
- 「ラブホテル」が最強の証拠である理由
- 原則は「性交渉=不貞行為」ですが、性行為そのものの写真(ベッド写真など)を入手するのは困難です。
- そのため実務では、**「ラブホテルに入って一定時間出てこなかった=中で性交渉をしたはずだ」という推認(すいにん)**が成り立ちます。
これにより、直接的な写真がなくても裁判で勝つことができます。
- 「セーフ(白)」でも離婚になる場合がある
- キスやデートだけでは「不貞慰謝料」の請求は難しいですが、それによって家庭を顧みず、夫婦関係が修復不可能なほど壊れてしまった場合は、**「婚姻を継続し難い重大な事由」**として離婚が認められることがあります。
「ヤッてない」という言い逃れは通用する?原則は肉体関係が必要ですが、度を超えた親密交際は「不法行為」として慰謝料の対象になり得ます。肉体関係なしでも戦えるケースと、必要な証拠について解説します。【詳細は、下の記事をご覧ください。】
2. 性行為を見ていなくても認定される?「推認」という考え方

ここで皆様が疑問に思うのは、**「性行為そのものの現場(ベッド写真など)なんて、撮れるわけがない」**という点でしょう。
安心してください。実際の裁判では、性行為そのものの証拠がなくても、前後の行動から「社会通念上、性行為があったと推認(推定)できる事実」があれば、不貞行為と認定されます。
不貞と認定される事実(推認されるケース)
| 証拠となる行動 | 不貞の推認力 | 裁判所の判断・言い訳の有効性 |
| ラブホテルへの出入り | 最強 (ほぼ確定) | 【判定理由】 施設の性質上、利用目的は「性交渉」にあると判断されます。 ❌ 通用しない言い訳 「仕事の話をしていた」「体調が悪くて休憩した」「ただの相談」 → 密室である個室に滞在した事実が重視され、何をしていようと不貞とみなされます。 |
| 相手宅への宿泊・長時間滞在 | 強 | 【判定理由】 夜間に異性の自宅(密室)に二人きりで長時間滞在していれば、性交渉の機会があったとみなされます。 ❌ 通用しない言い訳 「別の部屋で寝た」「リビングで飲んでいただけ」 → 部屋の中の状況は証明しようがないため、滞在事実をもってクロと判断されます。 |
| 二人きりでの旅行(外泊) | 強 | 【判定理由】 ビジネスホテルや旅館であっても、同室に宿泊した場合は、性交渉があったと推認されます。 ❌ 通用しない言い訳 「ツインベッドだった」「指一本触れていない」 → 泊まりがけで出かける親密さと、同室という状況から、言い逃れは困難です。 |
【ポイント】
- 「滞在時間」が重要
ラブホテルでも数分で出てきた場合は「満室だった」「入っただけ」という反論の余地が出ますが、40分〜1時間以上の滞在があれば「行為完了」とみなされます。 - 「複数回」あるとさらに確実
たった1回の出来事よりも、これらの行動が複数回確認されると、継続的な不貞関係として慰謝料が増額される要因になります。 - 「密室」かどうかが分かれ目
同じ長時間滞在でも、ファミレスやカラオケボックス(ガラス窓あり)の場合は、「密室性」が低いため、これ単体では不貞の証拠になりません。(恋愛関係にあり、かつカラオケ内での性行為を匂わすようなライン履歴があれば不貞行為があったと判断される可能性がでてきます。)
それだけでは不貞と認定されない事実
これらは「婚姻関係を破綻させる行為」として別の問題になる可能性はありますが、「不貞行為(慰謝料の対象)」としては証拠不十分とされるケースが多いです。
【グレーゾーン】不貞(肉体関係)とは認定されないが、リスクがある行為
法律における「不貞行為」は、あくまで「性行為(およびそれに準ずる行為)」が基準です。そのため、プラトニックな恋愛行動だけでは、直ちに不貞慰謝料の対象にはなりません。
| 具体的な行動 | 不貞認定 | 法的判断・リスクの解説 |
| 二人きりでの食事・デート | なし (白) | 【ただの友人関係の範疇】 異性と食事に行くこと自体は違法ではありません。「仕事の相談」「友としての付き合い」という反論が成立しやすいです。 ⚠️ 注意: 頻度が高すぎて家庭を顧みず、生活費を圧迫するような場合は「悪意の遺棄」等に問われる可能性があります。 |
| 手をつなぐ・腕を組む | なし (白) | 【親密だが性行為ではない】 親密さは認められますが、これだけで「肉体関係があった」と推認するのは不可能です。 ⚠️ 注意: 既婚者が公然と行うことは不適切であり、夫婦関係を悪化させる一因(離婚事由)としてカウントされます。 |
| 軽いキス | なし (白〜グレー) | 【不法行為だが不貞ではない】 法律上の不貞(性交)ではありませんが、夫婦の平穏を乱す「不誠実な行為」です。 ⚠️ 注意: 不貞としての高額慰謝料は難しいですが、これによって夫婦関係が破綻したとみなされれば、離婚原因となり得ます。 |
| 「好きだよ」等のメール (性的描写なし) | なし (白) | 【精神的な浮気(プラトニック)】 心の繋がりはあっても、肉体関係の証拠にはなりません。 ⚠️ 注意: 「性的な描写(次はホテルで…等)」がある場合は別です。精神的な没頭が激しく、家庭内別居などを招いた場合は**「婚姻を継続し難い重大な事由」**になります。 |
💡 補足
- 「不貞慰謝料」と「離婚」は別問題
- 合わせ技で「クロ」になることもある
3. 証拠がなければ「事実」はなかったことになる

重要なのは、あなたが「夫は絶対に浮気している」と知っていても、それを証明する客観的な証拠(事実)がなければ、裁判所は不貞を認めてくれないということです。
「絶対にやっている」という確信を、「法的に勝てる事実」に変えるのが証拠です。
弁護士が「探偵を使ってでもしっかりした証拠を」とアドバイスするのは、この**「推認させる事実(ラブホテルの利用実績など)」**が、裁判で勝つために不可欠だからです。

弁護士の中には、勝てるかどうか分からない案件は、受けないという方もいます。弁護士選びの前に、まずは確実な証拠を集めることに専念しましょう。
まとめ:法的な「白黒」をつけるために
「どこからが浮気か?」の答えは、法律的には**「肉体関係、またはそれを強く疑わせる密室での滞在事実があるか」**です。
もし、パートナーの行動が「怪しいけれど、肉体関係の確証がない」という段階であれば、焦って問い詰めてはいけません。まずは、法的に不貞と認定される**「決定的な場面(ホテルや自宅への出入り)」**を押さえることが先決です。

キスやデートの証拠を山ほど積んでも、裁判官は首を縦に振らない。……必要なのは、たった一枚の『密室への出入り』よ。その難易度の高いミッション、プロに任せて確実にクリアしなさい。
▶▶▶【5つの指標で分析!大手3事業者を徹底比較】
証拠の正しい集め方については、下記記事をご覧ください。




