【弁護士解説】弁護士介入で戦況は激変!内容証明という「宣戦布告」と、請求額に隠された“10%の心理戦”

確実な不貞の証拠を掴み、いよいよ弁護士へ依頼した段階から、この戦いは法的な効力を持つ「本格的なチェスゲーム」へと移行します。

これまで感情論で逃げ回っていた不倫相手(Y)に対し、法律というルールに則って逃げ道を塞ぐ。その際、弁護士がどのような戦術で「宣戦布告」を行い、どのように主導権を強奪するのか、実務の裏側とリアルなデータを公開します。

弁護士介入後:主導権を握り、プレッシャーをかけるフェーズ

1. 内容証明郵便による「宣戦布告」と「退路の遮断」

証拠が揃った段階で、弁護士が最初に行うアクションが、不倫相手(Y)に対する損害賠償請求の通知書送付です。これは単なる手紙ではなく、「配達証明付き内容証明郵便」という極めて厳格な手続きが取られます。

  • なぜ「配達証明付き」なのか?: 「そんな手紙は見ていない」「届いていない」という相手の使い古された言い訳を完全に封じるためです。いつ、誰に、どのような内容の書面が確実に到達したかが公的に証明されます。この「到達の証拠化」によって、消滅時効を一時的に止める(催告による時効の完成猶予)などの重要な法的効果を確実に発生させます。
  • 「直接連絡の遮断」がもたらす圧倒的優位: 通知書の末尾には、必ずと言っていいほど以下の定型文が記載されます。「本件に関する問い合わせや交渉等は、本人ではなく代理人である当職宛にお願いします」これによって、相手がパニックになってあなたに直接電話をかけてきたり、待ち伏せして感情的に詰め寄ってきたりするルートを物理的に遮断します。不倫相手は「法律のプロ」という高い壁としか交渉できなくなり、あなた側は冷静さを保ったまま心理的優位に立つことができるのです。

【実務データ】慰謝料請求額のリアルと「端数」の正体

ウェブやSNSでは「不倫の相場は100万〜200万円」といった情報が溢れていますが、実際の裁判データに目を通すと、初期の請求段階における数字のリアルが見えてきます。

① 請求額のツートップは「300万円」と「500万円」

実際の裁判例の分析によると、原告(請求する側)が最初にぶつける請求額は、以下の順に多いという明確な特徴があります。

  1. 300万円台
  2. 500万円台
  3. 400万円台

実務上、最終的な認容額(裁判所が認める額)が100万〜200万円台に落ち着くことが多いと知りながら、なぜ弁護士は最初にこれほど高額な請求をするのでしょうか?

理由はシンプルで、「交渉のスタートライン(アンカー)を高く設定するため」です。最初から相場の150万円で請求してしまえば、そこから減額交渉をされて大暴落するしかありません。相手の戦意を挫き、こちらの本気度を示すための戦略的な数字が「300万・500万」なのです。

② なぜ?「220万円」「330万円」という中途半端な請求額の正体

実務を行っていると、キリのいい数字ではなく、「220万円」「330万円」「440万円」といった、妙に端数のついた金額で訴状や通知書が届くケースが多発します。

これは、計算ミスでも気まぐれでもありません。「本来請求したい慰謝料額」に「その10%相当の弁護士費用」を損害として上乗せしているからです。

  • 220万円の数式:慰謝料200万円 + 弁護士費用20万円(10%)
  • 330万円の数式:慰謝料300万円 + 弁護士費用30万円(10%)

日本の裁判実務では、不貞行為(不法行為)によって弁護士を雇わざるを得なくなった場合、認容された慰謝料額の約1割を「弁護士費用相当額の損害」として相手に負担させることが認められています。

つまり、この端数付きの請求書が届いた時点で、相手は「こちらはあなたを絶対に許さない。弁護士費用まで1円残らず毟り取るつもりだ」という、依頼者と弁護士の強固な鉄の意志(リーガル・プレッシャー)を突きつけられていることになります。

💡 弁護士の本音(メディア向けコラム)

「通知書が届いた後のYの反応で、相手の知性が測れる」

内容証明が届いた後、不倫相手(Y)のアクションは主に3パターンに分かれます。

  1. 即座に弁護士を立ててくる(知性:高):一番手強いですが、大人の交渉ができるため早期解決しやすい。
  2. 無視して放置する(知性:低):最悪の悪手です。そのまま「欠席判決」となり、こちらの請求満額での勝ちが確定します。
  3. パニックになって本人に泣きつく(知性:ゼロ):こちらの「直接連絡するな」という警告を無視した形になるため、裁判官への心証は最悪になります。

相手がどの穴に逃げ込もうとするか。それを上から静かに観察し、次の罠を仕掛けるのが、弁護士が入った後の「大人の戦い方」なのです。

弁護士町田北斗

【監修:弁護士町田北斗】(東京弁護士会所属。2018年登録)

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