【弁護士解説】判例:浮気一回で離婚できる?不貞行為の「回数・期間」と離婚判決の行方

弁護士による法律解説記事のアイキャッチ画像。法廷を模した背景の前には、六法全書、木槌、そして「裁判事例」と書かれた書類が置かれている。中央のモニターには、一回の浮気を暗示する人物のシルエットと、割れたハート、結婚指輪のイラストが表示され、「浮気一回で離婚できる?不貞行為の『回数・期間』と離婚判決の行方【裁判事例】」というタイトルが大きく掲げられている。 不貞証拠とは
この記事は約6分で読めます。

A-07

「夫が浮気をした。もう生理的に受け付けないから離婚したい」
そう思っても、相手が「たった一回だけの過ちだ」「やり直したい」と離婚を拒否した場合、どうなるのでしょうか。

実は、法律上の離婚原因(民法770条)である「不貞行為」があったとしても、裁判所が**「これくらいの浮気なら、まだやり直せる(離婚までは認めない)」**と判断するケースが稀に存在します(棄却)。

確実に離婚を勝ち取るためには、不貞の「回数」や「期間」によって、**「もはや夫婦関係は完全に壊れている(破綻している)」**と裁判官に認めてもらう必要があります。

本記事では、不貞行為の内容や頻度が、離婚請求の結論にどう影響するのか、裁判事例を交えて解説します。

<strong>マダム・ホー</strong>
マダム・ホー

浮気はポイントカードじゃないのよ。離婚するためにスタンプを貯める必要なんてないわ。……たった一つの『黒い事実』があれば、そこでゲームセットよ。


1. 法律のルール:「不貞」=「離婚」とは限らない?

まず、大原則として「不貞行為」は法定離婚事由(法律で認められた離婚理由)です。
証拠があれば、基本的には離婚請求は認められます。

しかし、裁判官には**「一切の事情を考慮して、<婚姻の継続が相当と認めるとき>は、離婚の請求を棄却することができる(民法770条2項)」**という権限があります。

つまり、**「浮気は事実だが、一回きりの魔が差しただけで、深く反省しているし、子供も小さい。まだ修復可能だろう」**と判断されれば、離婚が認められないリスクがゼロではないのです。

だからこそ、確実に離婚するためには**「修復不可能なほどの裏切り(回数・期間)」**を立証することが重要になります。

「不貞=即離婚」とならない具体例の比較

判断要素離婚が認められやすいケース(関係が破綻しており修復不可能)離婚が棄却されるリスクがあるケース(修復の余地・継続が相当と判断)
期間・頻度・数年にわたる長期の関係
・半同棲や頻繁な密会
・妊娠・出産させている
・たった1回限りの過ち(出来心)
・風俗店利用のみ(不貞とみなされない場合も多い)
事後の態度・開き直る、逆ギレする
・「別れる」と嘘をつき関係を継続
・家を出て愛人と暮らしている
・土下座するなど真摯に謝罪している
・即座に相手と別れ、連絡先も消去
・カウンセリングに通うなど改善の努力がある
夫婦の状況・不貞以前から会話がなく冷え切っていた
・長期間の別居状態にある
・発覚前までは円満で良好な関係だった
・同居し、生計も一つで協力体制にある
子供・生活・子供が成人・自立している
・不貞行為が家庭生活を放棄させている
・子供がまだ幼く、両親の養育が必要
・離婚により、配偶者や子が過酷な生活苦に陥る

裁判所は「浮気の事実」そのものだけでなく、**「その浮気が決定打となって、婚姻関係が完全に壊れたかどうか」**を重視します。そのため、離婚を確実にしたい場合は、表の左側(修復不可能)に当てはまる証拠を積み重ねることが戦略として重要になります。


2. 【裁判事例】回数・内容による「離婚判決」の違い

では、実際どのようなケースで離婚が認められ、どのようなケースで争いになるのでしょうか。

【事例①】継続的・悪質な不貞(離婚:〇認められる)

  • 状況: 夫が職場の同僚と約1年間にわたり交際。週1回のペースでホテルを利用し、旅行にも行っていた。夫は「遊びだった、離婚したくない」と主張。
  • 判決: 離婚を認める
  • ポイント
    1年という期間と、週1回という頻度は「一時的な出来心」を超えています。
    裁判所は「信頼関係は完全に破壊されており、修復は不可能」と判断し、夫の拒絶を退けて離婚を命じました。
    • 教訓: 「継続性」の証拠があれば、相手が拒否しても離婚できる可能性が極めて高い。

【事例②】一回限りの不貞・風俗利用(離婚:△争いになる可能性あり)

  • 状況: 妻が夫のスマホを見て、過去に一度だけ風俗店を利用したこと、あるいは一度だけ元カノとホテルに行った事実を発見。夫は土下座して謝罪し、離婚を拒否。
  • 判決: 離婚が認められない(請求棄却)可能性あり
  • ポイント
    不貞行為の事実はありますが、「たった一度」であり、夫が真摯に反省し、家庭生活を大事にしている場合、裁判所は「まだ夫婦関係が破綻したとまでは言えない」として、離婚請求を退ける(棄却する)ことがあります。
    • 教訓: 一回だけの証拠では、「絶対に離婚したい」という希望が通らないリスクあり。

【事例比較】判断が分かれる「境界線」の事例

【境界線事例①】たった一度の過ちなら?

一回の不貞でも離婚原因にはなりますが、「修復の可能性」が重視され、離婚が認められなかった事例です。

項目離婚請求を「棄却」した事例(離婚できなかった)解説(なぜダメだったのか)
状況夫が会社の飲み会後、酔った勢いで部下の女性と一回だけ関係を持った。「魔が差した」と判断
継続性がなく、突発的な出来事であり、妻への愛情を失ったわけではないとみなされた。
事後夫は直後に妻に告白して謝罪。関係を即断ち、育児にも協力的。「反省と修復可能性」
夫の真摯な反省態度と、幼い子供のためにも父性が必要とされ、「婚姻を継続するのが相当」と判断された。

【境界線事例②】肉体関係がない(プラトニック)なら?

法律上の不貞(肉体関係)が立証できなくても、**「婚姻を継続し難い重大な事由」**として離婚が認められた事例です。

項目離婚請求を「認容」した事例(離婚できた)解説(なぜ認められたのか)
状況妻が習い事の男性と頻繁にデートし、「愛してる」等のメールを交換。キスはあったが肉体関係は否定「信頼関係の破壊」
性行為の決定的証拠はないが、異性と親密すぎる交際は、夫婦の平穏を害する「背信行為」であると認定。
結果夫婦生活は冷え切り、別居に至っていた。「破綻の実績」
不貞(770条1項1号)としては弱くても、それにより婚姻関係が破綻した(同項5号)として離婚を認めた。

比較のポイント

  • 回数: 「たった1回」でも、その後の態度(開き直りなど)が悪ければ離婚になりますが、深く反省し、普段の行いが良ければ「首の皮一枚つながる」ことがあります。
  • 内容: 「体の関係がないからセーフ」とは限りません。度を超えた親密さは、夫婦関係を壊した主原因として離婚事由になり得ます。

3. 「絶対に離婚したい」なら、証拠を積み重ねよ

上記の事例からわかるように、相手が離婚を拒んでいる場合、確実に離婚を成立させる鍵は**「不貞の常習性」「期間の長さ」**の証明です。

もしあなたが、一度の浮気を疑って「離婚したい!」と感情的になり、証拠が不十分なまま裁判を起こしてしまうと、「やり直しなさい」という不本意な判決を受けるリスクがあります。


まとめ:確実に縁を切るための準備

「離婚事由」として不貞を主張する際、その事実が「重ければ重いほど」、あなたの言い分は通りやすくなります。

  • 軽い不貞(疑惑レベル・単発) → 相手に粘られると離婚できないリスクがある。
  • 重い不貞(継続的・頻回) → 相手が拒否しても、強制的に離婚判決を勝ち取れる。

「相手と絶対に別れたい」「新しい人生を歩みたい」と強く願うのであれば、焦って動く前に、まずは**「言い逃れのできない、継続的な証拠」**を確保してください。
それが、あなたを苦しめる結婚生活から解放する、唯一確実な鍵となります。

<strong>マダム・ホー</strong>
マダム・ホー

『たった一度の火遊び』? 笑わせないで。信頼というグラスは、一度割れたら二度と元には戻らないの。……必ず来る二度目をの火遊びが絶好のチャンスよ。
▶▶▶弁護士が独自の5つの指標で分析!大手3事業者を徹底比較

タイトルとURLをコピーしました