不貞証拠の集め方

「不貞証拠の正しい集め方 弁護士解説」というタイトルのアイキャッチ画像。背景には法の象徴である天秤と小槌、そして証拠収集に使われる拡大鏡、メッセージ画面のスマホ、ボイスレコーダー、一眼レフカメラ、調査報告書のイラストが描かれている。
弁護士町田北斗

2018年弁護士登録(東京弁護士会)
・離婚事件を含む一般民事事件を専門とする法律事務所にて勤務
・一般の方々の法律リテラシーを向上させるため、法律実務を解説するメディアを多数運営。
・悪徳業者に騙されないための防衛術を指南するため、本サイトを運営。

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【弁護士監修】不貞証拠の正しい集め方|自力でできる範囲と探偵に頼むべきライン

パートナーの浮気を疑ったとき、衝動的にスマホを見たり、尾行したりしたくなる気持ちは痛いほど分かります。
しかし、無計画な証拠集めは失敗のもとです。
相手にバレて証拠を隠滅されるだけでなく、あなたが法的に不利な立場に追い込まれるリスクすらあります。

本記事では、裁判でも通用する「不貞証拠」を安全かつ確実に収集するためのステップと、やってはいけないNG行動について解説します。


1. 証拠収集の鉄則:「泳がせて、固める」

証拠集めで最も重要なのは、**「相手に気づかれないこと」**です。 「携帯見たでしょ!」「浮気してるでしょ!」と問い詰めた時点で、相手は警戒レベルを最大まで引き上げます。証拠となるデータを消去し、密会を控えるようになるでしょう。

確実な証拠をつかむまでは、普段通りに接し、相手を安心させて(泳がせて)おくことが鉄則です。


2. 自力で集める:身の回りの証拠確保

まずは、特別な機材や技術を使わず、生活圏内で入手できる証拠を集めます。これらは決定的な証拠(性行為の証明)にはなりにくいですが、積み重ねることで重要な「状況証拠」となります。

① スマートフォン・PC(デジタル証拠)

  • LINE・メールの履歴:
    • ポップアップ通知で内容を確認する。
    • 相手がお風呂に入っている隙などに、画面を自分のスマホで撮影する(動画でスクロール撮影するのがおすすめ)。
  • 画像・動画フォルダ:
    • 浮気相手との写真や、デート先の写真がないか確認する。
  • SNSの裏アカウント:
    • Twitter(X)やInstagramで、別名義のアカウントを持っていないか検索する。

【重要】パスワード解除のリスク ロックされているスマホを勝手に解除して中身を見る行為は、プライバシー権の侵害となる可能性があります。特に、IDやパスワードを推測・入力してログインする行為は「不正アクセス禁止法」に触れる恐れがあるため注意が必要です。

② 所持品・財布・ゴミ(物理的証拠)

  • レシート・クレジットカード明細:
    • ホテルの利用、レストランでの食事(2名分)、プレゼントの購入履歴、映画のチケットなどを確保または撮影します。
  • 手帳・スケジュール:
    • 不自然なマークや、「出張」「残業」と書かれている日の実際の行動を確認します。
  • 避妊具の数:
    • 自宅にある避妊具の数を定期的にカウントし、夫婦生活がないのに減っていないか確認します。

③ 車関連(行動記録)

  • ドライブレコーダー:
    • 映像だけでなく「車内の音声」が重要です。親密な会話や、ホテルに入る際のやり取りが記録されていることがあります。SDカードを確認しましょう。
  • カーナビの履歴:
    • 目的地履歴にホテルや見知らぬマンションがないかチェックします。走行軌跡が残るタイプなら、どこに行っていたか特定できます。
  • ETC利用履歴:
    • いつ、どこのインターチェンジを利用したかが分かります。

3. プロに任せる:決定的な証拠(Level A)の確保

自力での調査には限界があります。特に、裁判で不貞を認定させるための**「肉体関係を証明する証拠(ラブホテルの出入り写真など)」**を素人が撮影するのは極めて困難かつ危険です。

なぜ自力の尾行は失敗するのか

  • 顔が割れている: 対象者はあなたの顔を知っているため、少し近づくだけでバレます。
  • 撮影技術: 夜間の暗い場所で、動いている人物の顔を鮮明に撮るにはプロの機材と技術が必要です。
  • 法的リスク: 行き過ぎた尾行や待ち伏せは「つきまとい行為」として警察に通報されるリスクがあります。

探偵・調査会社を利用するメリット

自力で集めた情報(いつ、どこで会う可能性が高いか)をもとに、探偵に「ピンポイント」で調査を依頼するのが最も効率的で確実です。探偵が作成する**「調査報告書」**は、裁判資料として極めて高い証明力を持ちます。


4. 絶対にやってはいけないNGな収集方法

証拠が欲しいあまり、違法な手段を使ってしまうと、逆に相手から訴えられる可能性があります。また、違法に収集された証拠は、裁判で証拠として採用されない(排除される)リスクがあります。

  • × スパイアプリの無断インストール:
    • 相手のスマホにGPSアプリや遠隔操作アプリを無断で入れるのは犯罪(不正指令電磁的記録供用罪など)になる可能性が高いです。
  • × 盗聴器を仕掛ける(別居宅・相手宅):
    • 自宅(共有財産)ならグレーゾーンの場合もありますが、別居先の家や浮気相手の家に侵入して盗聴器を仕掛けるのは「住居侵入罪」です。
  • × 会社や友人への聞き込み:
    • 感情的になって周囲に言いふらすと、「名誉毀損」で訴えられるリスクがあります。

まとめ:自力で「疑い」を固め、プロが「事実」を撮る

賢い証拠収集のステップは以下の通りです。

  1. まずは泳がせる(問い詰めない)。
  2. 自力で生活圏内の証拠(レシート、ドラレコ等)を集め、浮気のパターン(曜日や時間帯)を特定する。
  3. その情報を元に、探偵や弁護士に相談し、決定的な証拠(ホテル写真等)を押さえる。

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